はじめに
僕はこの1年間、文系学部に通いながら理転するためにいちから物理と数学を勉強していました。
そして、奇蹟的にも都内(飯田橋にある理系大学です(笑)。)の物理学科に合格できました。
そこで、今回は、理転を考えている文系学生に向けて、僕の受験した感想を述べます。
需要があるかどうかわかりませんが、参考にしていただければと思います。
*センターについて誇れるような結果を出せなかったので、センター対策は記載していません。
理転を決意した理由
僕は人文系の学部に通っていました。その時に、教養科目で履修した生命科学の講義に感銘を受けました。
また、詳細は省きますが、親が病気になって――というありきたりな理由もあります。そして、生命科学やそれらに使われている技術(例えば、次世代シークエンサーなど)の勉強に取り組み、人々の健康に貢献したいなという思いから、理転を決意しました。
加えて、ある時、弁理士という職業を知り、法律と技術を取り扱うという点に心が惹かれました。今まで学んできた人文系の学問も商標権や意匠権といったものに多少影響があると思います。間接的なつながりかもしれませんが、今まで取り組んできたことも無駄にならないと思いました。また、ライフサイエンスやバイオサイエンスの特許専門を目指せば、これから学ぶ分野とつながります。そこで、弁理士を目指すことも決意しました。
以上が主な理由です。
受験さき
その中でも、やはり技術的なことを学びたいという思いから、生命工学、生物物理を学べる学科に絞り受験しました。
当初、僕の学力レベルは物理、化学、数3の初学者でした。したがって、受験科目である理数系が壊滅的な状態でした(笑)。
でも、興味自体はずっとありましたので、勉強自体が苦に感じることはありませんでした。それでも、すぐに理数系の学問の基礎学力が身につくわけありません(笑)。ですので、直前期に学科を絞りました。
では、なぜ生物系や生命科学系の学部学科を受験しなかったのか?と疑問に思う方もいると思います。
その答えは、物理の勉強ばかりしており、生物よりも点数が良かったからです。というのは、冗談です(笑)。受験はしましたが、落ちました。はい、学力不足・努力不足です。
アドバイス
理転したい理由を考えること
はじめに、僕からお伝えしたいのは、理転する理由をしっかりと持つことです。
どうして当たり前なことを言っているの?と疑問に思うかもしれません。
しかし、一度、理転する理由がぶれると、絶対に迷走します。
僕がそうでした。
なんどインドに旅立とうと思ったことか(笑)。ところで、自分探しの旅で、インドに向かう人が多いのはなぜなのでしょうか?それとも、僕の周囲の人たち特有のことなのでしょうか(笑)。
もしも理転を考えている文系学生がいましたら、その理由を深堀してみてください。そうすれば、勉強自体が苦になることはないと思います。また、今の学問から逃げているわけではないと、納得できるはずです。そして、周囲の人たちの理解を得るためにも、一度言語化した方がいいと思います(実際に理解が得られるかは別として……)。
それでもやはりぶれるようならば、以下の書籍をお勧めします。
ものごとの取捨選択や意思決定の際の参考になります。
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締め切りを決めること
もしも大学に通いながら、受験しようと考えている人がいましたら、その方々に伝えたいことです。
それは、締め切りを決めて、ものごとを割り切って、取り組むことです。
僕の場合は、大学に通いながら、また、アルバイトで生活費と受験費を稼ぎながら受験勉強に取り組まなければなりませんでした。
世間一般には、学力的に低いとみなされる私立大学に通っていました。そのため、僕の場合、学部の優秀者で、絶対に取り続けるぞという変なプライドがありました(笑)。だから、いろいろなことを並行して取り組む必要がありました。しかし、その時に、感じたのは、全部のことに同時に全力は注げないということでした。
つまり、取り組む時間・時期を区切る必要があると思いました。そして、その限られた時間内は、取り組むと決めた一つのことに集中するということを心掛けました。
その時に、スケジュール管理が重要だと思いました。
締め切りを自分で決めて、その間はひたすらそのことに集中するという方法が、僕の取った方針でした。
例えば、急に取り組まなければならないものが出てきたとします。具体的には、今日の講義でレポートの提出が1週間後であると指示された場合です。その日の受験勉強に取り組むべき時間をいったん保留します。そして、文字数にもよりますが、文献調査も含めて3時間でレポートを完成させると決めます。その3時間をスケジュールに割り振ります。まとめてでも、分割にしてでもきっちり3時間分はレポートに全力を注ぎます(笑)。
また、息抜きに1か月に一度、友だちと遊ぶ時もその半日だけは、ひたすら遊びました(笑)。勉強のことはいっさい考えないで、気分転換しました。
今振り返ると、気持ちを切り替えるという点においても締め切りを設けるということは重要だなと思いました。
ちなみに、スケジュール管理は基本的にiPad とiPhone のリマインダーとGoogleのカレンダーを連帯させていました。さすが文明の利器!
はやく学習範囲を把握すること
もしも数学、物理が初学者で、理転を考えている場合に、伝えたいことです。
勉強に取り組む中で、数学、物理は積み重ねの学問であると思いました。
つまり、ひとつひとつのことが有機的につながっているなと感じました。そのため、どこかに抜けがあると理解があやふやのままになります。
そこで、まずはその学問の全体像をつかみましょう。
そして、どの分野でどのような公式が使用され、その公式の意味が何なのかを把握した方が良いと思います。
また、常に自分の手で計算してみることです。
僕の場合、教科書の例題を写経することから始めました。
はじめは、どのような時にどの公式が使われているのかを知ることが大切だと思いました。最終的には、公式を導き出せるように、納得するまで考え続けることです(笑)。
などと理想を並べていても仕方がないので、とりあえずは、公式の理解と暗記を問題に取り組む中で、交互に繰り返すように心掛けることが大切だとおもいます。
そして、僕が教科書の次に使用したのは、数学ですとマセマシリーズです。
これは、非常に簡潔にまとまっており、わかりやすいです。
解説の明快さと写経の容易さという点においておすすめです。
以下のリンクは、マセマシリーズの一番簡単なものです。その次に、「元気が出る」、「合格」とレベルが上がっていきます。
一応、僕が取り組んだ数学の勉強方法をまとめました。もしも、理転を考えている人がいらっしゃれば、参考にしてみてください。
物理の場合は、教科書と並行して該当箇所を以下の参考書で確認しながら取り組みました。基本的には、数学と同じように、写経をしました。
問題集に関しては、参考書と同じ著者が出しているものを使用しました。このほかにも2冊ほど問題集は使用しました。ただしテキストは同じものを繰り返し使用しました。
また、物理は一番時間がかかりました。
初学者だったので、物理基礎から取り組みました。
大学の教養科目で、力学を取っていたのですが、やはり受験の物理とはかなり異なっていました。時間内に問題を正確に早く解くという訓練は絶対に必要だなと実感しました。
そして、当たり前かもしれませんが、問題に取り組む際は、毎回、図を書きました。
また、今振り返ると、問題やテキストに取り組むときに以下のことを意識することが重要かなと思います(今もできていない部分ですが……)。
- 問題の単純化
- 問題の分解
- 抽象化⇄具体化
1.問題の単純化について
どこに問題の本質があるのかということを意識するとよいと思います。
ボールの運動を考えるとき、初めから、空気抵抗やボールの回転を考えるのではなく、「質点」という単純化したものに置き換えますよね。
そのように、問題の本質を捉えることで、どのような式をたてる必要があるかを常に意識することが最終的に基礎学力向上につながるのかなと思います。
2.問題の分解について
複雑な問題でも、一つ一つ分解することで、まずはそのうちの一つの現象について考えてみるとよいと思います。
初めからxとyの両方の軸から、値を求めようとするのではなく、まずはxから求める。その次に、yから求める。
当たり前かもしれませんが、一つ一つの問題を別々に捉えることで、複雑な問題でも、その一つ一つの関係性が明らかになり、突破口になると思います。
3.抽象化⇄具体化について
これは、公式の理解と応用という意味で、必要な過程かなと思います。
当たり前かもしれませんが、公式を考えた(発見した)人がいる訳です。その式を使用して解答作成するという問題作成者がいる訳です。
ある問題に対して、どのような公式を使用する必要があるのか。
どのように公式を使用すれば問題を作成できるのか。
相互に意識することで、問題の意図や公式の理解も深まるのかなと思います。
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それでは、どうしてもわからない場合、どうしたのか。
方法1、友だちや教授に聞く
僕の場合、予備校などに通う金銭的な余裕がありませんでした。そのため大学の教育学部の数学科の友達などを使って、わからないところは質問をしました。まあ、聞いても要領を得ない場合もありましたが(笑)。
方法2、newtonやマンガでわかるシリーズを利用する
newtonの別冊やマンガでわかるシリーズに取り組むことで、学問の範囲がおおまかにつかめます。数学ガール(秘密のノートのほうです)もおすすめです。
書店で確認してもらうとわかりますが、図が豊富に使用されており、理解しやすいです。おすすめです。
また、ユーチューブなどに挙げられている実験動画なども参照してみてください。意外と理解の助けになります。
ただし、これらはあくまでも補助教材として認識してください。
なぜならば、これらの教材は、問題演習が少なすぎます。
これらに時間をかけるよりかは、教科書の例題に準ずる問題集やその少し上のレベルの問題集に時間をかけたほうがいいと思います。
newtonの別冊は、かなりおすすめです。
まずフルカラーです。
見ているだけでも、テンションが上がります。
また、内容もわかりやすいです。
おすすめです。
『マンガでわかる』シリーズは、初学者向けの内容です。
そのため、演習などは別の機会でしっかりと取り組む必要があります。
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『マンガでわかる』シリーズについて記事を書きました。
もしよろしければ、ご確認ください。
数学ガールの特徴としては、何といっても読みやすいという点が挙げられます。
図も多用されており、また、解説してくれる言葉も簡潔でわかりやすいです。
ただし、これもまた問題演習という観点からは、不十分なので、必ず問題演習に時間を割くように心掛けた方が良いです。
数学ガールの秘密ノート/ベクトルの真実 (数学ガールの秘密ノートシリーズ)
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数学ガールの秘密ノート/場合の数 (数学ガールの秘密ノートシリーズ)
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方法3、復習や中学生の範囲から取り組む
どうしても理解できなければ、中学の復習をしたほうが良いかもしれません。急がば回れです。僕の場合、該当箇所はその都度、書店で立ち読みしました。また、復習という位置付けでは、ブルーバックスもおすすめです。あとは、岩波ジュニア新書もおすすめです。やはり、その道の専門家が、明快にその分野を説明しており、理解しやすいです。
新しい高校物理の教科書―現代人のための高校理科 (ブルーバックス)
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方法4、スタディサプリなどを利用する
とりあえず、独学ではどうしようもない場合は、スタディサプリをおすすめします。
僕は、1ヶ月だけ利用しました。
どうしても理解できない単元があったので、そこを集中的に繰り返し講義を視聴しました。予備校の講義ってこんな感じなのかなと理解できました。
語学に手を抜かないこと
文系だからといって、受験科目の語学に手を抜かない方がいいです(笑)。
僕は英語で受験しました。その時、感じたのは、もっと受験英語に取り組んでいたらなと後悔しました。
2回生の頃、英検準1級を取得していたので、受験英語をなめていました(笑)。受験英語と英検で求められているものが異なります。例えば、英検は基本的に客観式です。またちょこっと英作文があります。
それに対して、大学受験の問題は、国公立の場合和訳と要約中心の問題です。
当たり前だろ?と思われるかもしれません。そうです。ぼくが馬鹿なだけです。完全に、演習不足でした。
みなさんは語学に手を抜いてはいけません(笑)。
耳を傾けること
もしも周囲の人たちに反対されたら、その人たちの意見をまっさらな気持ちで一度受け入れましょう。その上で、どうしてこの人は、「理転は無理だ」と言っているのか理解しましょう。
僕の場合、友人に理転することを言った瞬間、「無理だろ」、「いまさら進路変更するとか、現実逃避なだけ」と言われました。
しかし、よくよく話を聞いていると、根拠のない否定でした。
自分の周りに理転した人がいないからと言って、理転することが無謀なことだとは言えないと思います。
もちろん、理転した後のことがいっそう厳しい道のりであることは、十分承知の上です。
それでも、目標に向けて目指しているわけですから。
頭から否定されても……ね?(笑)
感情論や根拠のない否定は、無視しましょう。
心から気遣ってくれる人にだけ耳を傾けましょう。きっと、応援してくれる人たちがどこかにいます。
ちなみに、先日、理転することを全否定した友達に会いました。その時、合格したことをどや顔で伝えました。すっきりしました(笑)。
ん?なんと器の小さい男なんだ?
はて、それは誰のことでしょうか?僕は存じ上げていないですね(笑)。
おわりに
上から目線ですみません。
僕のような底辺私立文系大学生でも理系学部の試験に合格できました。
おそらくこの記事を読んでいる人の誰よりも、僕はこれまで努力をして来なかったような人間です。それでも、真剣になれば、合格はできました。もちろん、その後はわかりませんが(笑)。
もしも理転を考えているひとがいましたら、頑張ってください。
僕は応援しています。
あなたが本気ならば、成し遂げられると思います。
この記事が、理転を考えている人の参考になれば幸いです。
【落ち】
その後、紆余曲折あり、進学せず就職→転職をしました