はじめに
受験勉強や資格試験に取り組んでいるとどうしてもモチベーションが上がらないときが
出てくると思います。
それでも、感情を割り切って、物事にてきぱきと取り組める場合は、良いかもしれません。しかし、僕の場合、学部に入り直すという焦りや不安などであれやこれやと悩んでしまいました。そして、結果的に、勉強に集中できずに時間だけが流れて行ってしまったこともあります。
そんな時、僕は一度気持ちを落ち着かせるために、読書をしました。また、モチベーションが上がらないときも本を読んで気持ちを高めました。
そこで、今回は、勉強にくじけそうになった時に読んだおすすめの本を紹介します。
こんな人におすすめ
- 今現在勉強へのモチベーションを失ってしまっている人
- これから勉強を頑張ろうと意気込む人
- 勉強をすることに背中を押して欲しい人
モチベーションが上がる自伝
手塚治虫、1997、『ぼくのマンガ人生』、岩波新書
漫画界の偉人でも苦労していたことが、伝わってきました。やはり、誰でもくじけそうになった時があるのですね。それを乗り越えたからこそ、結果が出ているのかなと思いました。
特に、興味深かったのは、いじめっ子からの防衛手段として、何か特技を身に付けようとした点です。はじめ、手塚氏は勉強や手品などを身に付けようとしたそうです。しかし、自分よりも成績優秀な人がクラスにいたり、手品もすぐにばれてしまったそうです。そんな時に、母がマンガを読んでくれたそうです。そして、セリフや画面を憶えるほど繰り返し読んだそうです。マンガを200冊くらい所有するようになり、いじめっ子から羨ましがり、クラスメイトからのいじめの次第になくなり、友だちも増えたそうです。
辛いことがあっても、自分の道を進み技術をひたすら磨き続ける姿勢に感銘を受けました。
小澤征爾、2002、『ボクの音楽武者修行』、新潮文庫
「世界のオザワ」の自伝です。
ぼくは、クラシック音楽などの古典音楽の知識も教養もありません。それでも、小澤氏の行動力には驚かされました。だって、「外国の音楽をやるためには、その音楽の生まれた土地、そこに住んでいる人間をじかに知りたい」という思いから、スクーターとギターを持って海外へと飛び立ったというのですから。それも、戦後十数年しか経っていない間もないころですよ。すごいというか、感心させられます。
やはり、くじけそうになっても、行動し続けるのみですね。
湯川秀樹、2011、『旅人ーーある物理学者の回想』、角川ソフィア文庫
日本人として初めてノーベル賞を受賞した湯川秀樹氏による自伝です。
出生から原子物理学の開拓者としての苦労や葛藤も語られています。
興味深かったことは、「物事に熱中する性質」を小さい頃から持っていたということです。やはり、何かに集中する力を持った人は、すごいなと思いました。
また、「昔も今も、親しい友達が少ない」という点も面白いなと思いました。性格的な志向もあると思いますが、京都の街並み=表だけ通りに面して、それ以外は隔絶されているという特徴と重ね合わせている点が興味深いと思いました。
そして、感心したことは、漢籍も読んでいたというのです。四書五経の「大学」などを素読していたそうです。また、文学なども読んでいたというのですから、すごいですよね。
この本を読むと、自分ももっと頑張ろうと思えます。
挫折から成功した研究者たちの本
池内了、1996、『科学の考え方・学び方』、岩波ジュニア新書
科学的に考えるとはどのようなことなのでしょうか。
このような問いに対して、著者は明快に答えてくれています。
また、興味深いのは、研究者には2通りあると分類している点です。「微分型」と「積分型」という2通りだそうです。「微分型」は、問題を詳細に突き詰めて考えて、数学的な能力や直感を頼りに解決するようなタイプです。一方、「積分型」は、問題を俯瞰して、全体性や方向性、整合性を考えるタイプだそうです。
これは、他のことにも当てはまるそうです。まず自分が、問題に対して、部分、部分をきちんと押さえてから取り組むタイプか。それとも問題に対して、全体を見て、整合性だったりを押さえるタイプなのか。自分の得意な方を探す努力が必要だと述べています
[池内、1996:p14]。
自分に合った方法で努力するのが一番成長が早いですよね。
そのためには、自分は部分を突き詰めるタイプなのか全体を俯瞰するタイプなのかじっくりと今までの経験を振り返ることが大事ですよね。
酒井 邦嘉、2006、『科学者という仕事ー独創性はどのように生まれるのか』、中公新書
博士のことを、Ph.D.(doctor of philosophy)といいます。もともとのその意味は、ギリシア語で、「知を愛する」という意味だそうです。やはり、「知」を愛する人が、研究の世界でも博士まで残っているのではないでしょうか。
そう考えると、今取り組んでいる勉強も科学や人文科学の知を明らかにするために必要な過程の1つだと思えますよね。
そして、何よりも、「愛する」ことが重要ですよね。
やはり「好きこそものの上手なれ」ですよね。
そして、「すべての知識」を暗記する必要は必ずしもないということですよね。
必要な知識をその都度吸収することが、大切であると考えると、今取り組むんでいる勉強も少しは気が楽になりませんか。
完璧主義に走らず、「わかる」ことをひとつひとつ増やしていきましょう。
有馬朗人監修、2000、『研究者』、東京図書
この本は、様々な分野の科学者による研究者になるためのアドバイスが載っています。この本の良い点は、様々な分野の科学者たちが何を考えているのか、そして、どのように努力してきたのか、どのように問題を乗り越えてきたのか、語っている点です。そのため、一人一人の研究者が非常に努力をしていることがひしひしと伝わってきます。
研究職を目指す人は当然としても、研究者を目指さない人にも読んでほしいです。
もちろん、僕は研究者を目指しているわけではありません。それでも、基礎学力がいかに重要か理解できました。
やはり、その基礎学力を身に付けるためには、勉強は大切ですよね。
この本を読み終えると、愚直に、焦らず、一つ一つのことを理解していこうと思えます。
有馬朗人監修、2001、『研究力』、東京図書
こちらの本は、『研究者』の姉妹本です。
こちらも様々な分野の研究者が、研究者に必要な能力などを語っています。例えば、青色発光ダイオードの中村修二氏らも載っています。
挫折や失敗などの経験談も含めて、かなりためになります。
地道に実験に取り組み、思うように結果が出なかったり、批判されたりしても、愚直に研究に取り組む姿勢に感銘を受けます。
この本を読み終えると、自分ももっと努力して、結果をだそうと強く決心が固まります。
くじけない哲学
マルクス・アウレーリウス・アントニウス、2007、『自省録』、岩波文庫
マルクス・アウレーリウス・アントニウスは、第16代ローマ皇帝です。また、五賢帝の最後の賢帝です。そして、ローマ帝国最盛期の肯定であり、ストア派の哲学者でもありました。そのような人物が書き記した書物が『自省録』です。
マルクス・アウレーリウスの時代のローマ帝国は、安定が崩れ始めた頃です。例えば、東のパルチアの侵攻、さらに北のゲルマン人の侵攻が激しくなり、対外の対応に追われ始めました。そのため、決して、安定した時代とは言えません。
そのような、動乱の中で、トップに立った人の人生観がこの『自省録』には載っています。
第1巻から第12巻まで収録されています。
そこに載っている言葉、一つ一つがハッとさせられるような言葉ばかりです。
マックス・ウェーバー、1980、『職業としての学問』、岩波文庫
マックス・ウェーバーは社会学者でもあり、経済学者でもあり、また宗教学など様々な分野で研究していたドイツの研究者です。
何のために学ぶのか。どのようにして学ぶのか。
考えられさせられる本です。
外的な要因で、講義を取っていないだろうかとハッとしました。ラクタンだという理由で取るのは、単位をとるために効率的ではあります。しかし、学問を理解するという点においては、どうなのでしょうか。
また、取り組み続ける「作業」と「情熱」をもっているからこそ、よいおもいつきが現れるそうです。
そして、「学問上の『達成』はつねに新しい『問題提出』を意味する」という言葉は胸に響きました[マックス ウェーバー、1980:p30]。
確かに、今は、いつかは時代遅れになることを学んでいるのですよね。
肝に銘じて、新たな「問題提出」ができるように、勉強に取り組みたいです。
おわりに
個人的に、おすすめのモチベーションを上げる書籍を紹介しました。
受験勉強や資格の勉強に疲れた時に読むと、また頑張ろうと気持ちを奮い立たせてくれる書籍たちですので、一度、手に取ってみてください。