はじめに
あなたがこれまでに観た映画の中で最もおもしろいと感じたものはなんですか、と聞かれた場合なんと答えますか。
僕は、真っ先に『キサラギ』と答えます!!
恋愛映画、ミステリー映画、アクション映画、コメディー映画など、世の中には様々なジャンルがあります。
今回、僕がお勧めする『キサラギ』という映画は、ミステリーとコメディーが混ざっており、まさに異色の映画です。
そこで、今回、『キサラギ』の良さを皆さんに知ってもらいたくて、ご紹介します。
こんな人におすすめ
- 普通のミステリーに飽きた人
- どんでん返しを期待する人
- コメディーもミステリーも好きな人
どういう内容なのか(ネタバレなし)
2007年、2月4日、あるビルのペイントハウスに「如月ミキ」ちゃん1周忌追悼会にお互いに面識のない5人の男たちが集まります。
その5人というのは、家元(俳優:小栗旬)、オダ・ユージ(ユースケ・サンタマリア)、スネーク(小出祐介)、安男(塚地武雅)、いちご娘。(香川照之)です。
その5人は、売れないD級アイドルだった「如月ミキ」のファンサイトでネット上でのみ交流していたファンでした。当然、5人は初対面ですので、はじめは自己紹介から始まります。
また、D級アイドル「如月ミキ」は、自宅マンションで1年前に自殺してしまいました。そして、その自殺方法というのが、自室に油をまいて、焼身自殺だったのです。
「如月ミキ」ちゃんを追悼するために、5人が集まりました。
そして、追悼会が始まりました。しかし、オダ・ユージ(ユースケ・サンタマリア)が「如月ミキ」の死因は自殺ではなく『他殺だ』と断言したことで、推理劇が始まります。
おすすめポイント
個性的な5人の男たち
まず、5人の男たちのハンドルネームです。
これが最高におもしろいです。
家元(小栗旬)
オダ・ユージ(ユースケ・サンタマリア)
スネーク(小出恵介)
安男(塚地武雅)
いちご娘。(香川照之)
そして、その個性的なハンドルネームのように個性的な男たちの素性です。
家元は、この「如月ミキ」ちゃん1周忌追悼会の主催者であり、みんなを集めました。
はじめ、家元は、自分はしがない公務員であると自己紹介をします。しかし、実は、親が警視総監であり、自分も警視庁総務部情報資料管理課に勤務しているのです。
また、初めの自己紹介では、「如月ミキ」ちゃんに関する知識ならば、誰にも負けないと豪語するのです。そのように豪語するように、例えば、非公式に如月ミキが母校のインタヴューに答えた記事を持っているのです。また、これまでに大量のファンレターを送っており、そのお礼として「如月ミキ」ちゃんからの直筆お手紙を持っています。
やはり、自分で「家元」と称すように熱狂的なファンであるなとみんなが納得するのですが……
オダ・ユージは、「如月ミキ」ちゃん1周忌追悼会の企画者です。当初、オダ・ユージは、家元や安男が喪服を着てこなかったことやスネークの言葉遣いに対して、礼節をわきまえるように注意します。そのような言動から、冷静沈着でお堅い人間のように感じます。しかし、実は、自分を「オダ・ユージ」と称すように、「如月ミキ」がなぜ自殺したのかという理由を明らかにするために行動する厚い男なのです。
スネークは、雑貨店で働いている今どき?の若者です。その場のノリで誰かの話題に乗っかるようなどこか軽い性格の持ち主です。そのスネークですが、なぜか世に出回っていない「如月ミキ」ちゃんの生写真を持っています。
安男は、福島県で農業を営んでおり、片道6時間弱もかけて、「如月ミキ」ちゃん1周忌追悼会に参加しています。自前のアップルパイを持ってきたものの、そのアップルパイは腐っており、それを食べて、腹を壊し、度々推理劇についていけません。しかし、安男しか知らない「如月ミキ」の自殺に関する証拠を持っています。
いちご娘。は、ネット上で女らしい言葉や言動をしていたため、当初、「如月ミキ」ファン唯一の女性のファンであるとみんなから認識されていました。しかし、「如月ミキ」ちゃん1周忌追悼会に参加していたのは、中年のおっさんだったのです。その中年のおっさんは、消去法でいちご娘。であるとわかります。
このような、職業や年齢、バックグランドの異なる5人男たちが集まり、天国の「如月ミキ」ちゃんを追悼する会が始まります。
徐々に明らかになる謎と二転三転する状況
はじめ、5人の男たちはお互いに自己紹介をします。そして、追悼会も始まり、家元の「如月ミキ」ちゃん秘蔵コレクションをみんなで鑑賞したりと、和やかな雰囲気です。
しかし、オダ・ユージが如月ミキ」の死因は自殺ではなく『他殺だ』と断言したことで、推理劇が始まります。
なぜ、オダ・ユージは自殺であると確信しているのか。
それは、実はオダ・ユージは、独自の調査で、以前から「如月ミキ」の周りにストーカーがいたということを突き止めます。
また、そのストーカーが火をつけて「如月ミキ」を殺したのだと断言します。
そして、そのストーカーをおびき出すために、この「如月ミキ」ちゃん1周忌追悼会を企画したのだと言います。
しかし、やはり荒唐無稽な憶測だと家元に反論されます。そして、当時、「如月ミキ」がストーカー被害に遭っていたということを警察は把握していないと断言しました。
なぜ家元は、警察しか把握することのできない内部事情を知っているのか。それはーー家元は、警視庁総務部情報資料管理課に勤務していることを明かします。
しかし、オダ・ユージは、この中にストーカーがいるのだと断言します。そして、そのストーカーというのがーーいちご娘。だと言うのです。
このように、推理が繰り広げられます。
くすりと笑わせる演出
まず、最高に面白い点は、オダ・ユージという役を、ユースケ・サンタマリア氏が演じている点です。まさに、『踊る大捜査線』のつながりです。
しかも、面白いことに、そのオダ・ユージは、ムキになった時、『踊る大捜査線』の織田裕二のセリフをところどころ言ってしまいます。
また、安男は、推理劇のはじめの30分くらい居ません。安男は、自分の用意した腐ったアップルパイを食べて、お腹を壊します。そして、何度もトイレに行き来します。その間、4人によって推理が繰り広げられていしまい、展開に完全についてけなくなってしまいます。
ペントハウス内で起こる室内推理劇
演劇の舞台の上のように、カメラのほとんどがペントハウス内を映します。そのため、緊張した推理劇を鮮明に映します。
また、面白いのは、「如月ミキ」が死んだのもマンションの一室であり、その推理をするのもペントハウス内という室内です。そのため、室内という空間を演出しています。その点が、非常に面白いと思います。
みんなが納得する結論(ネタバレ)
5人が繰り広げた推理劇は、ついに結論にたどり着きました。
その結論はーー自殺ではありません。
焼身自殺当日は、たまたま寝る前にゴキブリが出ました。そして、そのゴキブリを殺すために、間違えてサラダ油の入った「ラッキーチャッピー」の容器を部屋中に蒔きました。そして、地震によって、アロマキャンドルの火がそこに引火してしまいました。その時、「如月ミキ」ちゃんは、家元からの命よりも大切なファンレターを守ろうとして、死んだというものでした。
つまり、実は、「如月ミキ」ちゃんのおっちょこちょいな性格であり、天然なところによるものが原因だったというものでした。
遅れてやって来た永遠の清純派アイドル「如月ミキ」!!!
5人の男たちを虜にする「如月ミキ」とは、一体全体どのような人物なのでしょうか。
実は、この「如月ミキ」は、エンディングまで顔がほとんど映されません。
家元曰く、「如月ミキ」の魅力は、ぱっちりとした二重だそうです。
そのような断片的なものからのみ「如月ミキ」を想像するしかありません。
このように、最後まで、「如月ミキ」という人物像をぼかしています。
そこを想像するのも面白い点です。
「如月ミキ」ちゃんの歌声ーー「ラブレターはそのままで」
エンディングに入る前に、待ちに待った「如月ミキ」の顔が映されます。
なんとそれが、大磯ロングビーチで行われたアイドルイベント時に出演した、「如月ミキ」の映像です。
しかも、その時に披露したという「ラブレターはそのままで」という曲でした。
なんと、その歌が最高に面白いです。
アニメ声でかつかなり音痴です(笑)
見事に下手です。
初めて流れた時、びっくりしました。
でも、僕は何度も聴きたくなるんですよね。
キャストが最高
まず、主役は小栗旬氏です。イケメンというだけでなく、演技が上手いです。
現在でも様々な作品に出ていますが、この当時からすごく演技が上手いと思いました。例えば、推理場面での「はっと驚く表情」「やさりげない視線」の動かし方などかなり引き込まれます。
また、ユースケ・サンタマリア氏は、 『踊る大捜査線』など数々の有名作品に出られており、演技も上手いですよね。『キサラギ』では、冷静沈着な役柄を演じています。
小出恵介は、スネークというチャラい若者の役柄を演じています。やはり、様々な有名作品に出られているので、演技も上手いですよね。
塚地武雅は、安男というさえない農家の人を演じています。コミカルなキャラクターを演じています。演技も違和感なく、上手いですね。
香川照之は、さえない中年男性を演じています。さすがベテラン俳優なだけあります。演技もうまく、画面に引き込まれます。
このように、俳優は、一流の人たちが出演されており、演技に引き込まれる点もおすすめポイントです。
監督が佐藤祐市氏、脚本が古沢良太氏
監督である佐藤祐市氏は、『古畑任三郎』や『ストロベリーナイト』といった有名作品を作っている人物です。その佐藤祐市氏がつくりあげた『キサラギ』。面白くないわけありません(断言)。
また、脚本は、なんと古沢良太氏です。古沢良太氏は、最近のものだと『探偵はBARにいる』シリーズや『リーガルハイ』シリーズや『デート』といった話題作を作っています。『キサラギ』はそれよりも前の作品ですが、このころから、コメディー×推理やコメディー×恋愛といった面白い作品を作っています。
その二人がタッグを組んでいる『キサラギ』。
そこもおすすめポイントです。
中毒性
まず、なんといっても「如月ミキ」ちゃんによる「ラブレターはそのままで」という曲です。
あのアニメ声で、かなり音痴な歌声は何度聴いても飽きません。最高に面白いです(笑)
また、最後の結論です。
推理の結論として、みんなが納得するものが出ました。しかし、実は、「ラブレターはそのままで」の後で、面白い演出があります。
それは、「如月ミキ」が大磯ロングビーチで行われたアイドルイベント時に出演した時に、司会を務めていた人が出て来ます。
なんと、その人が最後に言います。
「馬鹿馬鹿しい。私はこの2年間、徹底的に調べた。如月ミキは殺されたんだよ。みんなは知っているか。彼女が死んだ2月4日一体何があったのか」
そう言って一本の導線?を画面に映します。
そして、終わります(笑)
うーん……
もう一度、見返したくなります‼︎
おわりに
今回は、最高に面白い映画『キサラギ』をご紹介しました。ぜひ一度視聴してみてください。
推理も面白いですしコメディーの部分も最高に面白いですので、おすすめです。