はじめに
今回の記事では、新卒の方に向けて手順書の作り方と手順書を作る意味をお伝えしていければと思います。
転職先の職場で色々と驚いたことや呆れたことはありました。その中でも呆れたことの上位3、4番目くらいに入る程の経験をしたのは、「手順書の用意されていない業務」が多々存在することでした。
今時、動画等で撮影・記録することもしていないし、仮に手順書が用意されていても、全く役に立たないどころか解読するのに時間がかかるものやミスを引き起こすような厄災(最悪)なものとしては存在していました。
(そんなんだから業界でトップになれないのでは。。。マジで転職先をミスったと後悔しています)
そこで、今回は新卒の方で業務に慣れていない方や手順書がなくて作り方に困っている方、僕のような哀れな子羊に向けて、手順書の作り方や手順書の意味や経験談を共有できればと思います。
意義・意味・目的・本質を捉えようとすることについて
なぜはじめに言葉の意味を考えるのか。その意味を考える目的を僕の考えとともにご説明します。多少冗長になりますが、お付き合いいただければ幸いです。
なお、先に断っておきますが、「出世をしたい」だとか「認められたい」「仕事に興味ないからどーでもいい」といった思惑・思考を持つ方は下記の項目を全て無視して「手順書作成の手順」までスクロールして頂ければと思います。
今回の場合に関わらず、仕事において「これやっておいて」と気軽に言われても、すぐに「わかりました」と返事するのは危険だと考え、一度意味や意義、目的、本質を考えることが重要だと考えるからです。
理由は2つあります。
1つ目は、目的や意義を知っていないとなぜその業務を行うのかわからずに進めることとなり、何も身につかない無駄な時間となる可能性が高いからです。何が言いたいかというと、有限な人生において時間の浪費となる可能性を少しでも避けるためです。つまり、意義・意味・本質だと言ったことを理解する必要があることです。
そもそも、単に言われたことを行うのは、自分の頭で考えないことになるので思考停止となり、問題点の把握や改善点の考案・実行に繋げることが難しいと思います。主体的に問題を捉えていないので、ただ作業としてこなすだけとなり、思考錯誤もしないと思いますし、頭が働きません。これを打開するためには、どんなに職場の同僚や上司に嫌な顔をされようとも、自分で理解できていないのでしたら、自分に任された仕事の意味や意義、その位置づけを逐一確認した方がいいと思います。「本質がわからない」という状況では「最適解」以前の「及第点」を捉えることすら難しいです。
2つ目は、自分の専門と異なる業務でもどうしてその仕事を「俺・私・僕」に任せようとしていたのか、「上司や同僚」などの「仕事を割り振った人」の「考え」や「思考回路」を把握することになるからです。仮に、論理的でない回答をされた場合、十中八九、その割り振った人は合理的でないので、少なくともビジネスでは関わらない方が良いと考えます。
このさき無駄な作業ばかり割り振られることになる可能性が高く、転職も考えるべきだと思います。
この現在社会において、気軽に言われた業務をただ単に思考停止で進めるのは、会社の都合の良い人材となるという意味では良い面もありますが、今後の働き方や生き方等の環境変化を考えるとちょっと、危険な気がします(僕の偏見と極論です)。終身雇用が崩壊していないのであれば、会社に従順である方が過ごしやすく良いと思いますが、そのような状況でもないので、ストレスは溜まるし、つまらない作業だし、安い給料だし、そのくせ、肩たたきにあうという働き損となる可能性が高くなると思います。。。。。。
以上のことから、意義・意味・本質を捉える必要があり、無意味価値のないことに時間と労力を割かないようにするべきと考えています。
そのため、今回の記事おいて、まずは語義の確認から入り、本質的と言うか、手順書の意味から考えたいと思います。
閑話休題。
「手順」の意味
そもそも、「手順書」の「手順」とはどういう意味なのでしょうか。手順書の意味を考える前に、「手順」の言葉の意味を捉えてみます。
デジタル大辞泉「手順」によると、2つの意味のうち1つ目に「物事をする順序」「段取り」と書かれています。
1 物事をする順序。段取り。「手順を踏む」「手順よく運ぶ」
2 囲碁・将棋で、着手の順序。また、相手の動きに対する当然の応手。引用元:デジタル大辞泉「手順」より引用。手順とは何? Weblio辞書
正直、上記の語義だけでは単なる言い換えのような感じなので、よくわからないです。
そこで、さらに「順序」の意味を確認してみます。
同じくデジタル大辞泉の「順序」の項目を見ると、1つ目に「ある基準に従った並び」と書かれています。
この「ある基準に従った並び」という点は、先ほどよりも想像がつくようになったのではないでしょうか。
何かしらの「基準」という部分は、例えば、「背が高いという基準」と言ったような、法則性や規則性、類似性等で並べるということなど、先ほどより多少なりとも具体的な場面が思い浮かびます。
1 ある基準に従った並び方。また、その位置。順番。「順序が狂う」「順序よく並ぶ」
2 物事を行う手順。段取り。「まず上司に相談するのが順序だ」「順序を踏む」引用元:デジタル大辞泉「順序」より引用。順序とは - Weblio辞書
最後に、「段取り」の辞書的な意味を確認してみます。
ここでは、二つ目の方に「物事を進めていく手順」、「そのための用意、工夫。」とあります。
つまり、「段取り」には、単に「物事を進めていく手順」だけでなく、その手順を実行するための「用意や工夫」でもあるという意味も含まれると、なんとなく想像がつきます。
① 芝居・小説などで、筋の運びや按配。もと歌舞伎の楽屋通言。
② 一般に物事を進めていく手順。また、そのための用意、工夫。引用元:日本国語大辞典「段取り」より引用。https://www.weblio.jp/content/段取り
以上のことをまとめると、手順とは「物事を進めていくある従った並び」であり、その手順を実行するための「用意や工夫」を含めた一連の行動のことであると捉えることができそうです。
「手順書」を作成する意味
上述の通り、手順とは「物事を進めていくある従った並び」であり、その手順を実行するための「用意や工夫」を含めた一連の行動であると仮定します。
そうなると、手順書とは、「物事を進めていく手順」であり、その手順を実行するための「用意や工夫」を含めた一連の行動を記した書類や紙等の、文書化されたものであると言えそうです。
ただし、この語義が最適であるかどうかはわからないので、一般的な辞書で「手順書」の意味を確認してみます。
wikiによると、以下のような定義がされています。
手順書 (てじゅんしょ)は、業務や作業を行う手順を文書化して、どの作業者でも同じ質の作業を実行できるよう、作業手順が明確化されたもの。作業計画書、作業手順書、作業標準書などとも呼ばれる。
引用元:手順書 - Wikipedia
上述のことから、手順書とは、単に作業手順を文書化しているのではなく、どの作業者であっても同等の質をアウトプットできるように明確化されたものであり、創意工夫を含むものであると言えそうです。
手順書作成のコツ
手順書の作成方法について、職場で決まったフォーマットがあるのでしたら、良いのですが、僕の職場では決まったものがありません。例えば、テキストファイルのみを用いて、文字だけで説明している場合があったり、そもそも文書化自体をしていないこともあります。
そんな時、文句ばかり言ってもしかたないので、僕は以下のことに気をつけて作成しています。参考にしていただければ幸いです。
前提:再現性を意識すること
手順を文書化する動画として記録する等、書き手からその媒体が離れても、第三者がその文書や動画を見て、その通りに行って一定の質を保つように書かれている必要があります。つまり再現性が担保されている必要があります。
これは、文字で有れば主語と述語を必ず呼応するように書くだと言ったような人に伝えるべき努力的な当たり前のことも含めて指しています。
一方で、あえて暗黙知として、人知れずこっそりと伝承させており、高度な専門性や感覚化している業務として意図的にしているのでしたら、そもそも手順書など残さないでしょう。
したがって、自分さえ解ればよいと言う自己満足的な意図でもない限り、第三者が再現できるように意識する必要があります。この時の第三者とは、中学生くらいの知識レベルの人を想定しています。実際には、会社の人になるわけですが、中学生くらいの知識レベル(前提知識がない人)にでも解るようにしていることです。
以下の項目は実際に、僕が意識しながら作成していることです。一般的なことも含まれますが、ご了承ください。
全ての作業内容が端的に網羅されていること
ここでは、作業内容をしっかりと把握する必要があります。
そのため、手順書を書き始める前に、最初から最後まで作業内容を書き出していきます。そのようにすることで、全体の流れで漏れを出さないようにします。
具体的には、料理と似ています。
作りたい料理に対して、必要な材料を洗い出して、その材料をどのようなタイミングで使用するのか道具は何を使うのか等、再現可能なレベルまで分解していきます。
この段階で、あやふやな工程がある場合、前任者に聞けるようでしたら聞く、そのような人が不在の場合は、近しい業務内容の人に聞く、ネットで調べる等をして、とにかく分解し、その分解して作業を通して、全体像が一通り繋がり、把握できるように心がけます。
その上で、全工程を時系列等の一定の規則性を持たせて、列挙しておきます。
料理の場合は、必要な材料や道具名を先に書いておいて、次にそれらを用いた調理方法を時系列に列挙するなどです。
表現はできるだけ一義的であること
一義的な表現を心がけると言う点は、再現性を意識していれば、自ずと行うことのはずですが、あえて強調しておきます。
僕の職場の人は、なぜか曖昧な表現で2つも3つも解釈できてしまいそうな書き方をしています。正直なところ、意味がわからないことが多いです。
仕事を振るからには、後工程の方が困らないように工夫すると言う概念がないようです。
自分さえ良ければそれでいい、と言う考えが本当に意味不明です。そのような部分最適を行っても、全体的な効率性が落ちることがわかっていません。全体の効率が落ちるのですから、売り上げや利益にだって響くだろうし、ひいては給与等の待遇も改善されず、むしろ自分のクビを絞めることになると、なぜ気付がないのでしょうか。理解し難い人が多すぎます。
閑話休題。
とにかく、ここでは、後工程がわかる程度に言葉を書く・表現するように心がけるべきであることをお伝えしたかったです。手順書を作成するときも同様に、後々の後任者が解る程度に簡潔にまとめるべきです。
例えば、僕は以下の点を心がけています。
- 主語と述語が呼応している
- 多義的な表現をしないように心がける
- 小学生や中学生くらいの人に解る程度の語彙力で書く
文字だけでなく、画像・絵等を用いるべき場面を考えること
現在は、令和であり、科学技術も進歩しています。
昭和ならしかたないにしても、文字だけで説明するべき場面と文字以外の媒体を用いて表現する時を意識するべきだと思います。
今回とは違い、何か細かい部品や図面や模型等、テクニカルなことを言っているのでしたら、視覚的な要素も取り入れないと伝わりにくいです。
例えば、特許だって、文字だけでなくしっかりと図面を用いて表現しています。
職場の人は、なぜそれをしないのか理解に苦しみます。人にわからせようという意識が皆無ですし、後は察して勝手にやれ、的な思考が謎です。
あなたと私は全く異なるバックグラウンドで生きており、あなたと私は赤の他人である事を理解できていない人が多すぎて困ります。
察しろだとか阿吽の呼吸だとかは、信頼関係がない場合難しいのですから、そこら辺をなぜトップダウン的にやらせようとする(求めようとする)のか謎です。
例外処理等の注意事項を書くこと
ここでは、一通り手順をアウトプット終え、そのアウトプットした文章なり動画なりを参照し、その通りに行ってみた後のお話になります。
もしも手順書通りに再現できなかった場合は、なぜなのか原因を考える必要があります。原因分析等については省略しますが、なぜ大きな誤差が生じたのか等の注意事項やそれに対して例外的な処理を行う必要性があった場合など、その理由や対処方法を書いておく事です。
人間の行なっている事ですから、例外やミス等の当初の想定外の事態が生じるの仕方ありません。ただし、どのような例外や事件なのか書き記すことで、属人的な暗黙知を出来るだけ排除し、後々の担当者が変わった時に起こった場合でも対処できるようにしておきましょう。
作成日時(更新日時)と誰が書いたのか残すこと
最後に、日付と誰が作成したのかを書き留めておくことをおすすめします。これは、作成者を明確にする事で、責任の所在を明らかにすると言う意味もあります。
また、そもそもいつ更新された物なのか、そもそも一度も更新されていないものなのかによって信頼性も変わってくるからです。
本来であれば、手順書の通りに行えば、完璧のはずですが、上述の通り、ミスや例外は起きてしまう可能性があるため、そのような問題等に対して細心と最新の情報を載せることで、常に手順書=手順を振り返り、改善していく必要があります。
そうでないと、全く無意味な手順書となってしまい、ゴミ箱行きとなります。
おわりに
ちょっと職場の愚痴が多くなりましたが、参考にして頂ければ幸いです。