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【読書感想】『お菓子でたどるフランス史』の感想。

はじめに

 以前、『パスタでたどるイタリア史』を読み、同じ著者による、岩波ジュニア新書の食べ物に関する文化史の本があることを知りました。

 

そこで、今回は、『お菓子でたどるフランス史』の感想をぬるっと書きます。

 

 

 こんな人におすすめ 

  • フランスの歴史に興味のある人
  • お菓子が大好きな人
  • 世界史に興味のある学生

 

評価

 

よい

お菓子というものは、「より良く生きるために必要なもの」であり、文化的な質を高めるものであり、文明度の高いところから低いところへと伝播することがわかります。

 

この本の目的

フランス文化とお菓子の密接な関係を導きの糸として、フランスの歴史をたどっていくこと。

 

感想的なもの

そもそも、お菓子の文化的な意味って何でしょうか。

水や米や小麦のような絶対的に必要なものなのでしょうか。

 

 

筆者池上によると、お菓子は「余分なもの」だそうです。

そのお菓子は、「ハレ」(非日常的)な食べ物であり、「贈り物」や「プレゼント」としての役割を持ち、最高の贅沢品であるものの誰にでも開かれた民主的な食べ物だそうです(池上、2013:p.p.6ー7)。

 

たしかに、お菓子そのものは、なくても生活はできそうな気がします。でも、お菓子を食べない生活を想像すると……甘党の僕にとっては、最悪の環境ですね。

 

僕がどれくらい甘党かというとですね(え、そんなことどうでもいい?そんなこと言わないでください……orz)。

最近だと、アマゾンでネスレのティーパックを購入しました。

これがまた、ほどよい甘さでめちゃくちゃおいしいのですよね。おすすめは、アールグレイです。牛乳を入れるのもおいしいのですが、そのまま水で飲んでもすごくおいしいです。甘さもほどよく、炭酸で割って飲むと意外とおいしかったです。

 

 

ほかにも、楽天では、ドーナツとマカロンの詰め合わせを購入しました。12個入りなのですが、様々な味を楽しめます。はじめは、友だちに渡すために買ったのですが、結局、自分の分も購入しました(笑)。おすすめは、抹茶味のドーナツです。程よい甘さで、しっとりとして、おいしいです。

 

閑話休題。

 

個人的におもしろいなと思ったのは、お菓子を武器として国家戦略が立てられたのは17世紀の絶対王政期からということです。もっと後からだと思っていました。単純に、国家の成立が近現代以降であるとおもっていたからです。

 

ふと思ったのは、お菓子という文化を武器にして、国家の趨勢を操ろうとするフランスと現代の日本が「クールジャパン」と称して、日本のポップカルチャーや文化をブランディングして、経済を成長させようとする戦略が重なって見えました。やはり、独自の文化を売り出すというのは、国家戦略的に有効なのでしょうね。

 

 

また、おもしろいは、キリスト教において、ウーブリと呼ばれるパンが聖体パンとして祭日に食べられていたということです。このような習慣があったことで、やがて作り手が、世俗の職人の作業に変わったというのです。それが大体、中世の半ばから後半にかけての話だそうです(池上、2013:p.p.28ー33)。

 

そして、かつて医学的に甘いものは、医薬として評価されていたそうです。特に、サトウキビから作られる砂糖は、17世紀まで医薬として考えられていたそうです(池上、2013:p.39)。

 

チョコレートの原料であるカカオが薬としてかつて使用されていたということは、聴いたことがありました。しかし、甘味料の権化ともいえる砂糖が医薬として用いられていたことは、驚きました。

 

そして、時は流れ、ルイ14世のヴェルサイユで、「フランス料理」という宮廷料理が作り上げられたそうです。この絶対王政の時代に、近代的なデザート(お菓子)が作り上げられたそうです(池上、2013:p.p.92ー93)。

 

特に面白いと思ったのは、当たり前かもしれませんが、デザートに砂糖が使用されるにしたがい、需要もますということです。つまり、砂糖をめぐって、各国が競って覇権を争い始めたということですね。

 

この時に思い出したのは、以前読んだ『砂糖の世界史』です。

 

www.moyo-stray-sheep.work

 

確か、砂糖は一般家庭に普及する過程で初め、地位の高い人々がステイタスシンボルとして、また誇示的消費などによって、消費されていたのでした。

 

なるほど、ここでつながったので、歴史はおもしろいですよね。

 

その砂糖を使用して、クリームなどを作り上げていったということだそうです(池上、2013:p.108)。

 

そして、フランス革命後、特権階級の貴族の多くが没落したことで、お抱えの料理人も職にあぶれることもあったそうです。そのような料理人たちが街中にレストランを作ったそうです(池上、2013:p.133)。

 

つまり、この時、フランス料理が民主化されていったのですね。

そして、デザートとしてお菓子も普及したということなんでしょう。

 

 

おわりに

この本で、最も印象に残っているのは、お菓子などの嗜好品が文明度の高いところから低いところへと伝播するということです。

砂糖やカカオ、たばこなどもそうですが、やはり嗜好品の歴史はおもしろいなと思います。

 

『パスタでたどるイタリア史』の感想は以下の記事です。時間があれば、お読みください。

 

www.moyo-stray-sheep.work