とある先生に、「岩波ジュニア新書はその道の先頭にいる研究者によって書かれているから暇なら読んでみれば?」と勧められたので、ブックオフで見つけて、暇なので読んでみました。
・評価
良いと思います。
雑学として、楽しめるのではないでしょうか。
・感想的なもの
一般的な傾向として、人は古いものに固執するらしいです。「親近化選好」というテクニカルタームがあるそうですよ。慣れ親しんだ古いものを好み、逆に、新しいことは受け入れがたくなることだそうです。
ところが、顔の学習は、30歳まで続くそうです。
つまり、それまで顔の好みが変化すると。
親近化選好が当てはまらないということでしょうか。確かに、高校時代に付き合っていた彼女の顔を思い出すと、今はかわいいとは思わないような気がします。(強がりではありませんよ?そもそも彼女と別れたのは――以下略)
そのような顔の好みの変化は、圧倒的にたくさんの数の顔に出会い、感情が動くことによって学習されるそうです。僕も大学に入り、たくさんの顔を学習したということでしょう(笑)。
また、ペレット教授の先行研究によると、健康的な肌の色は、魅力につながるという、魅力と健康の関係があるそうです。生物は不健康な個体を排除して、自分の子供が健康な遺伝子を持って生存競争に勝つため、健康的な異性を配偶者に選ぶよう、遺伝子によって操作されているそうです。
魅力と健康の関係性があるのは、なんとなくわかる気がします。僕は、健康が崩れた人の顔は、なんとなくですが、魅力的だなと思わないです。ですが、「はかない」という表現があるように、ある種の美的感覚も現代では通用する気がします。やはり、環境(時代)に合わせて、顔を見る基準が変わるということでしょうか。
そして、美人の基準には、平均顔と黄金比の説があるそうです。
平均顔とは、これまで見た顔から作り上げられ、どんな顔を見たかによって基準が変化するそうです。たしかに、ルネッサンス期の絵画や平安期の美人画を見ても、現在では通用しないような人ばかりに感じます(笑)。絵師や貴族の価値観がわかるということですね。(彼らの周辺には、あのような人しかいなかったのではないでしょうか(笑)。)
また、それとは別に、黄金比説があるそうです。例えば、「モナ・リザ」は黄金比によって描かれているそうですね。そういえば、ルーブル美術館に行った時、人の多さには、まいりました。
言い換えると、黄金比説を支持するならば、普遍的な美的価値観によって美人の基準が決まり、逆に、平均顔説を支持するならば、相対的な美的価値観によって美人の基準が決まるということでしょうか。
普遍と相対……
哲学的なことになってきて、頭が痛いです(笑)。
とりあえず、まとまりのないこと書きましたが、結論は、この本は楽しめる!ということです。
最後に気づきましたが、心理学について全く頭に残っていない……。

自分の顔が好きですか?――「顔」の心理学 (岩波ジュニア新書)
- 作者: 山口真美
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2016/05/21
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