はじめに
昨今、流行りとなっている生成AIについて、業務で活用してみました。
理由は主に以下の2つです。
- 業務の効率性を向上させること
- 品質を向上させること
……まあ、ありきたりの理由ですね(笑)。
今回は、業務で活用した感想を共有していきます。
今回の記事で取り上げる内容は目次の通りですが、これまで業務で生成AIを使っていない人や利用してみたいけど迷っている人に向けての記事になります。
生成AI導入前の業務状況
生成AI導入前の日常業務の流れとしては主にこれまで、職業柄社内向けの資料作りに業務時間の半分ほどの時間を割いていました(おそらく、0.5人月くらいだと思う)。
そのため、作業時間を効率化(と言うよりも、資料作りの時間を短縮化)させることが課題でした。
基本的には、資料作りの目的(誰に向けての資料だっけ?など)を明らかにしてアウトラインを決めて、具現化することが資料作りになるかと思います。
実際に、社内向けの資料となると、毎回毎回、執行役員の〇〇さん向けには、この言い回しが良いよね〜などの面倒な作業が生じるわけですが……今回はその点は省力します。
今回は、生成AIを用いることで少なくとも骨子を考えるところくらい短縮できるならば、期待以上の成果だと考えて、利用することにしました。
選定した生成AIツールとプロンプトの学習について
今回、実際に業務で使用するために選んだ生成AIツールは、「Azure OpenAI」になります。社内の情シスからの許可はそこしか降りませんでした(笑)
基本的には、ChatGPTと同様の機能です。
プロンプトを考えて入力して、その入力結果が返ってくる感じです。しかし普段使用しているChatGPT4とは使い方(UI)が異なり、当初はよく分からず戸惑いました。
そのため、数時間ほどは勉強しました。特にどこにどのような機能が実装されているのか判然としなかったため(UIが分かりずらい)、かなり資料を読み漁りました。
おかげで、本業の法務の方の業務が全然捗らないということも多々ありました(笑)……というのは冗談にしても、結構、資料は読み漁った気がします。
役に立ったのは、結局、MicrosoftのHPでした。
Azure OpenAI Service – 高度な言語モデル | Microsoft Azure
また、そもそも、プロンプトの仕方みたいなのもよく勉強したことがなかったため、以下の本を買って学びました。特に、「ChatGPT最強の仕事術」と「ChatGPT 100選(週刊ダイヤモンド 2023年9/9号 [雑誌])」は具体的な指示者(利用者)のシチュエーション(背景)別に、指示例が書かれており、かなり参考になりました。
Excel×ChatGPTでビジネスが加速する!AI仕事術: 「○○を教えて」だけじゃない!仕事に役立つ50の活用事例 ChatGPTでビジネスが加速するAI仕事術 (エクセル兄さん出版)
ChatGPT 100選(週刊ダイヤモンド 2023年9/9号 [雑誌])
生成AIを活用した業務改善の具体例
実際にAIを使って改善した業務は、ズバリ、資料作りの骨子:構成を考えてもらう部分でした。
基本的には、資料作りは、以下のステップを踏むと思います。
- 資料作成の目的と説明先の対象を明確にする
- 必要な情報、データ、画像、グラフなどを収集する
- 構成の設計をする
- スライドの作成をする
初めは、上記のすべての作業を生成AIに担ってもらうことを想定していました。しかし、プロンプトを考える段階で……あれ、スライド自体の作成(スライドとして出力)することまではできないじゃないか?とわかってしまったため、途方に暮れました。
ChatGPT4であれば、スライドメーカーとかプラグインでインストールできるのですが、会社の場合、セキュリティ上できないため……(そもそもそのようなプラグインの概念がMicrosoftのものにあるのかすらも知らないのですが……)
そこで、プロンプトで「資料作成の目的と説明先の対象を明確」を入力して、そこであとはどこまで精度の高い資料の骨子を作成できるかを試すことに変更しました。
生成AIのメリットとデメリット
使用した結果、感じたメリットとデメリットをリアルに共有します。
ぶっちゃけると、メリットは一般論を述べる程度の資料であればかなり時間短縮になると思います。
どういうことかというと、「〇〇役員さん向けの資料を作ってくれ」という指示は難しいですが、「20代の一般社員向けの〇〇に関する資料」程度であればかなり使い勝手が良いと感じました。
デメリットに関しては、結局のところ、プロンプトを考えて→AIの出力結果を吟味するという作業の内の「プロンプトを考える」という部分と「AIの出力結果」の待ち時間で工数がかかりすぎる場合には、うーん微妙かもというのが感想です。
何が言いたいのかというと、
生成AIのトークン数(テキストデータの最小単位数)に制限がある以上、永遠にスムーズにキャッチボールができるわけじゃないということです。
つまり、会話(こちらが指示すること)の精度を上げていく作業が必要になる以上、会話相手からスムーズに返ってこない(プロンプトの出し方に問題がある場合がほとんどだと思いますが)とか、そもそも返答が遅すぎるとかだと、かなりストレスに感じました。
結論と今後の展望:
生成AIを業務に取り入れた全体的な感想としては、資料作りのドラフトには良いけど、生成AIで資料作りが全て完結するのはまだ遠いかなと思いました。
もちろん、今でも一般的な内容であれば十分良いと思います。
しかしながら、そもそも社内のデータをAIに食わせるのも、セキュリティー上の措置が必要だったりするため、そこら辺をスムーズにクリアしないと、社内の資料作りに適した精度の高いAIを作ることは難しいかなと。
ただ、質問に対する一般的な回答はやはり精度が高いと感じるため、そこら辺のところは使い用があると感じています。
しかし、社内向けの資料など、データを食わせないと回答の精度が高まらないようなところはちょっと情シスなどに頑張ってもらいたいなと思いました(笑)。